映画を観ることは自分の思い込みを観るということなのか
1976年公開のジョン・ギラーミン監督による映画『キングコング』は今となってはピーター・ジャクソン監督による2005年版ほどの驚きも1933年のオリジナル版ほどのワクワク感もない何とも中途半端な作品という評価になってしまっているようですが当時は日本でも大作扱いで派手に宣伝され、興行的にも成功を収めています。その頃の幼い僕は劇場では観られませんでしたが後にテレビ放映された時には家族揃ってかなりワクワクしつつ鑑賞した記憶があります。
続きを読む人生における恋愛の重要度がよくわからない
あらゆる表現分野において恋愛というのはとても大きなテーマです。とはいうものの消費者としての自分は恋愛それ自体がテーマの作品にはそれほどお金を使った覚えがありません。例えばポピュラー音楽において恋愛というやつは他のテーマと比較するとアンバランスなほどに巨大な柱ですし、僕も切ないラブソングに胸を締め付けられたい時というのが確かにありました。しかし中二病期には洋楽に耽溺して「日本の音楽ってのは何だってこう浮ついた恋愛のことばっかり歌ってるのかな。それに比べて洋楽ロックは…」などと至ってありがちなクソ寒い感想を抱いたりした人間の性根がまだ完全に矯正されていないのか、現在もラブソングばかり歌っている人からはつい距離を置いてしまいます。
漫画やアニメ、映画、小説ともなるとなおのことです。しかしそういう要素を全く必要としていないかというとそういうわけでもなく、作中に登場する可愛い女の子に胸をときめかせたり恋愛描写を副菜として楽しんだりということもあったりするわけです。
続きを読む規格外になりたいなんて滅多なことはこの作品を読んだ後では言えない
漫画を描かせて頂いている身としては一度くらい漫画を作る上での定石を無視したような型破りな作品を描いてみたいなんてだいそれたことを思ったりします。しかし僕の如き非才凡庸の徒が己の力量を顧みずそんなものに挑んでみてもたいていろくな事になりません。それで色々と手痛い失敗もしたものです。
続きを読むデジタルのお絵描きにおける忘れられつつある技法
漫画やイラストなどをパソコン上で仕上げるようになってからは画材店に足を運ぶ頻度もめっきり減りました。以前は漫画を描くことイコールスクリーントーンを買いに行くことでありました。それも末期にはネット通販で済ませていましたから、何と言いますか律儀に一歩ずつデジタル化を進めてきた感じです。
トーンを貼る作業自体は嫌いでしたが店頭でトーンを選ぶ時間はけっこう楽しかったですね。ああいう実体のあるものに触れてそれを収集するという行為はデジタルネイティブな皆さんには全く無意味なものに思えるのかもしれません。情報の伝達媒介に過ぎないものに何らかの価値を見出してありがたがる人種は絶滅するとは言いませんがそれに近い状態にはなり、野生動物と違ってそのことを危惧もされないでしょう。
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