ヤマイの反省の話題

ヤマイの反省の話題

エロ漫画家の苦悩と反省のおはなし

フリーのペイントソフト「Krita」をようやく好きになれたような気がする

       

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っこう頑張って描かせて頂いた拙作『ふたりはやっぱり曲がり角』が収録されているアンソロジー『みるきぃ・りっぷ』(コアマガジン)が税抜き574円で好評発売中ですので18歳以上の皆様に是非ともご購入の上ご覧頂きたい今日このごろですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 僕の漫画をより多くの人々に読んで頂きたいという気持ちは真剣かつ切実この上ないのですが、今回は早々に切り上げて本題です。

 この『ふたりはやっぱり曲がり角』などの漫画やイラストのたぐいはMacにて制作しております。僕の場合Macはほぼこうした用途専用のお絵描きマシーンとなっておりまして、普段のネットやメールには別のパソコンを使っております。そちらはLinuxを入れたパソコンです。Linuxというと何かというとコマンドで操作しなければならないとか、プログラムをやる人が使うものといったイメージがありますが、最近の、とりわけUbuntuの系列であれば僕のようにGUI中心の至極ぬるい使い方でも全くストレスなく楽しく使えるものになっています。余談ですがLinux関係の雑誌などを見ていると、そのくらいならGUI使ってもいいんじゃないのと言いたくなるようなごく基本的な操作すらコマンドで行うように解説していて恐ろしくなりますね。僕は可能な限り端末は開かない派であります。

 Ubuntuの9.04から使い始め、12.04LTSあたりから通常リリース版を半年ごとにいちいちアップグレードするのが面倒くさくなって2年毎にリリースされる長期サポート版、いわゆるLTSと長く付き合う方針に転換、更にUbuntuの標準デスクトップ環境Unityが今ひとつ性に合わなく感じるようになってLinux Mint CinammonやUbuntu MATEなど色々試して今の所はXfceを採用しているXubuntuに落ち着いています。そしてここまではずっと32ビット版を使っていたのですが、最近パソコンのメモリを大幅に増設したうえでXubuntu 14.04LTS 64ビット版に切り替えて現在こうしてそこからこのブログも書いています。

 ここまでこういうことにどの程度知識がある人を対象にしているのかよくわからない文章になってしまったので、本来は全く何も知らない人に向けて書いているものとして用語の解説等をいちいち書いていくべきなのでしょうが、僕自身さほど詳しいわけでもないですし、いつまでも本題に辿りつけないのでその辺りは又の機会に、もしくはこういうテーマを専門に扱うサイトなどをご参照頂くとしてとりあえず僕がLinuxを使っていて最近パソコンのメモリを増やしたというところを前段とご了解下さい。

 

程も書いたようにXubuntuのパソコンは普段使い用なのですが、とはいうもののLinuxでもワコムペンタブレットを認識してくれることもあってこちらでも絵を描きたくなる時はあるわけです。Linux向けにも様々なペイントソフトが存在しておりまして、少なくとも趣味的なお絵描きには十分なスペックを備えたものも少なからず存在しています。おなじみのGimpを筆頭にMyPaint、AzDrawing、AzPainterなどを導入し、気分で使い分けて落描きを楽しんでいるのですが、先日これらに加えて今回の主役Kritaをインストールして試しに色々描いてみました。

 

KritaはもともとはLinuxのデスクトップ環境のひとつKDE向けのソフトですが他のデスクトップ環境下でも使用できるほか、Windows版やMac版も存在しています。フリーのソフトでは珍しくCMYKにも対応していたりその他の機能も有償のソフトに引けを取らないくらい充実しております。僕もその評判は以前から伝え聞いており、じっさい過去に導入して試してみたこともあるのですが、なにぶんこのソフト少々重くていささか不安定なところもあり結局持て余して放置してしまっていたのです。

 今回メモリを増設し、それがどの程度影響があるか分かりませんがOSも64ビット版にして、更にKrita自体もバージョンが上がって多少扱いやすくなったという話であるので再度挑戦してみようと思ったのであります。

 Xubuntu 14.04LTSから通常の手続きで入手できるKritaのバージョンは2.8ですが現在既に2.9が存在しております。(3.0プレアルファ版も登場しています。なんとアニメーション制作機能付きですって)僕の環境で2.9を導入しようと思ったらひと手間かけなければいけません。Krita2.9を提供しているリポジトリ(ソフトウェアの倉庫のようなもの、だそうです)を利用できるようにする手続きが必要になります。つまり端末を開いてコマンドを打ち込む、あの恐ろしい作業ですね。まあ「Krita2.9 ppa」で検索すれば必要なコマンドは比較的容易に見つかりますのでそれをコピー&ペーストすればいいだけなのでそんな難しいものではありません。 僕の場合実はここでも意固地にGUIからその作業をしたのですが、それはまた別の機会に。ともあれどうにかKrita2.9を導入することができました。

 

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っそく一枚描いてみました。こちらがインターフェイスです。以前はブラシの反応速度がすぐ遅くなったりどんな操作もすぐカーソルがぐるぐる渦巻きになって最悪勝手に終了しちゃったりしていたものですが、今回はそういうこともあまりなくここまで描き切ることができました。完成版をピクシブに投稿しておりますので良かったら見ていって下さい。

        

【オリジナル】「Kritaで描くのびのびおねえさん」イラスト/山井逆太郎 [pixiv]

 見てだいたいお分かり頂けるのではないかと思いますが絵を描くのに必要な機能はひと通り揃っています。ブラシの種類も豊富で(ネットで探せば追加のブラシも入試可能です)もちろんタブレットの筆圧感知もしっかり効いて描き味も良好、僕が日頃使っているPhotoshopやClipStudioPaintと比べても決して劣るものではありません。正直僕がこれまで描いてきた程度のカラーイラストであればこのKritaで余裕で描けてしまうので今後は有料ソフトの機能をもっと使いこなさなければと反省を迫られることとなったのでした。

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   ブラシを表示させた状態です。見ての通りわかりやすくて種類も豊富です。各ブラシの画像にマウスのカーソルを合わせるとブラシの名前が表示されますがそれは日本語化されていないのでちょっと分かりづらいです。まあ見ればある程度は分かりますし一つ一つ試していくのも楽しいです。

 

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 ブラシの設定画面です。今回は設定はほとんど触らずに描いたのですがこのようにかなり細かくいじれます。

 

前いじった時には高性能の片鱗は伺えたものの、前述のようにどうにも思ったように動いてくれなくてあまり印象が良くありませんでしたが、今回どうにか一枚描き上げるところまでこぎつけられてこのソフトがとても気に入りました。とはいえ戸惑うところが全くなかったわけではなく、小さなトラブルにも度々遭遇しました。

 この手のペイントソフトはたいていPhotoshopをお手本にしているのでPhotoshopをいじった経験があればそれの応用で他のソフトもある程度直感で操作できるものです。Kritaも例外ではなく多くの部分Photoshopに倣った作りになっているのですが、機能の用語ですとかショートカットなどが少々独自色の強いものになっており、それらの確認で作業がストップすることがしばしばありました。ショートカットについては設定の変更は容易なのでその気になればPhotoshopに準じたものにすっかり変更することも可能だとは思いますが、機能の用語は覚えるより他ありません。例えばイラストを描く上でもはや手放せない機能であるクリッピングマスク。ClipStudioPaintなどでもこの名称が採用されていますが、Kritaでは何がそれに相当するのか初見ではさっぱり分かりません。ネットをあちこち渡り歩いて「アルファの相続」がそれに当たるのだと分かるまでに結構時間がかかってしまいました。レイヤーウインドウの各レイヤーのところに付いているαのマークをクリックしてチェックを入れるとクリッピングマスクに相当する機能が働きます。もうひとつPhotoshop等でよく使われる機能に選択範囲を自由に加工できるクイックマスクモードというのがありまして僕はそれが大好きなんですが、どうもKritaにもそれに相当する機能が当然あるみたいなのですが現時点ではまだ分かっていません。

 トラブルに関しては以前のように突然勝手に終了してしまうといったことはなくなったのですが、特定の機能、例えば筆圧感知ですとかタブレットのペンのおしりの消しゴムを消しゴムとして認識しなくなるとかいった所だけが突然使えなくなるといったことが時々ありました。そういう時は一旦ソフトを終了させないと回復しませんでした。またレイヤーを切り替えると何故かブラシの反応がひどく悪くなるといった現象もしばしば起こりました。そういう時は僕の場合はブラシのツールオプションを開いて「平滑化」の項目を「基本平滑化」から「平滑化なし」に切り替えるといったことを何度か繰り返すと直りましたが、他に何か有効な手段があるのでしょうか。

 ところで冒頭の漫画もKritaで描いたものです。新しいファイルを作成する際に様々なテンプレートを利用できるのですが単純な原稿サイズ以外に「コミックテンプレート」というものが使用できます。

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 これを選択しますとコマ割りや下描き、主線などのレイヤーがあらかじめ分割されたファイルが出来上がってきまして後は描くだけという、なかなか便利なものなのですが、どうやらこのコマ割りが一種類しか用意されていないみたいでどうにも使い道に困る機能です。でも将来この機能の自由度がもっと上がったなら…とちょっぴり夢は広がりました。

 

くつか作品を仕上げてみてかつては放り出してしまったこのKritaを僕はどうにか好きになれました。どうやら来たるべき3.0ではさらなる進化を遂げているようですし、Photoshopなどとの連携も含め使い方次第によってはプロの使用にも十分耐え得る代物なのではないかという印象も持ちました。今後も時々Kritaについてここで書けたらと思います。

 また教本も発売されております。基本的にはひとつ前の2.8向けに書かれているとのことですが今回取り上げた2.9を使うにあたっても問題なく参考になるようです。もしご興味を持たれた方がおられたらそちらを見て頂いた方がよほど有益だろうかと思われますのでチェックされてみてはいかがでしょうか。

 といった所でひとまずここまで。

Kritaでデジタルペイントマスター

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