ヤマイの反省の話題

ヤマイの反省の話題

エロ漫画家の苦悩と反省のおはなし

バランスチェアは椅子に似た何かだった

              f:id:yondokoro:20160131183923j:plain

題に入る前に宣伝をば。コアマガジン様より好評発売中のアンソロジー、『スカートの中の秘密』にわたくしの作品『甘えさせん坊なとなりのお姉さんが今日は何だか暴走モードです』が収録されております。コンビニ等で税抜574円という廉価でお求め頂けますのでどうかよろしく。この『甘えさせん坊な〜』は以前下記の記事で紹介させて頂いた僕のウェブ作品集にも収録されております。 

yamai-manga.hatenablog.jp

 ここまでが本文でこれから書くことはおまけみたいなものですが、まあよろしければお付き合いを。

  

yamai-manga.hatenablog.jp

  上記の記事で単行本を紹介させて頂いた漫画家、ジョポジョリンこと岸里さとし先生が先ごろご自分の仕事場にスタンディングデスクを導入されました。こんにち「スタンディングデスク」で検索すれば様々な製品を見つけることができますが、彼の場合はDIYでスタンディング式のワークスペースを構築したようです。すでにスタンディング環境で何本か原稿を上げられているとのことで、長時間の作業ではさすがに足がむくんでくるといったことはあるようですが作業に集中できてオン/オフの切り替えが明快にできて能率も上がると非常に満足しておられるようでした。

              f:id:yondokoro:20160127220651j:plain

 岸里先生から作業場の写真を提供して頂きました。彼は全ての工程をパソコン上で行うので机の盤面全体をかさ上げするのではなくモニターや液晶タブレット(僕やみんなの憧れ、ワコムの24インチですよ!)など必要なものだけを持ち上げているようですね。椅子の背中がチラッと見えていますがこれは背が高くて足の乗せるバーが付いている、いわゆるカウンターチェアというやつです。休憩時に座るためのものだそうです。

 岸里先生はDIYで作業環境を改良していくのが半ば趣味のようになっている方で左手で操作する各種コントローラーや資料の配置も試行錯誤を繰り返して使い勝手を高めていっている様子がこの一枚からも伺えますね。IKEAあたりでオサレな既成品を購入するのも良いですがこういう実用一辺倒の無骨な仕事場もいいものです。

 これ以前からこうした作業環境改善の話をたびたび岸里先生から聞いていて感心したりはしていたんですが、そんな僕の作業場はといいますとかれこれ10年位使っていた椅子のガス圧式の高さ調節機構がへたってきて座っていると座面が徐々に沈み込んでいくという症状を呈しておりまして、これは近々買い換えないとなあなんて思いつつも1,2年くらい何となくだましだまし使い続けるという保守的にも程がある有り様だったのです。そんなところへ岸里先生のこれまでにないレベルの大胆な変化の話を伺ったので僕もさすがに刺激を受けまして、ついにせめて椅子くらいは買い換えようと決意したのでした。

 そんな具合に他人の影響を受けやすい僕ですが、だからといっていきなりスタンディングデスクを導入できるほど思いきれる性格でもありません。そこでせめて椅子のチョイスで少し冒険しようと思いまして以前から興味があったバランスチェアの購入を決意したのでした。少し傾斜した座面と膝当てで体を支え、背筋を伸ばした姿勢で座ることができるという触れ込みのあれであります。

 

いうわけで早速調べてみますとこのタイプの椅子はルーツは北欧で厳密には「バランスチェア」というとこの本家筋の商品名ということのようです。「バランスチェア」と正式に銘打っているものはどれもなかなか結構なお値段でちょっと手が出ません。

 幸いというべきか安価な類似品も数多く出回っておりますのでそちらを主に吟味していくことになりました。椅子というものは往々にして値段と性能の直結度合いがかなり高いものですので安物買いには不安がつきまとうのですが懐の寒さは如何ともしがたいものですし、この手の椅子が登場して30年以上たっていることだし類似品のメーカーにもそれなりの技術の蓄積はあるであろうといいように考えつつ商品をチェックしていきました。

 で、色々迷った末に僕はこちらを購入したのでした。

 

ミヤタケ(宮武製作所) プロポーションチェア ブルー CH-88W(BL)

ミヤタケ(宮武製作所) プロポーションチェア ブルー CH-88W(BL)

 

 値段はもちろん本家に比べると相当安いので一番の決め手にはなりましたが類似品の中で一番安いというわけでもありません。これ以外の製品の多くがガス圧式の高さ調節機構を採用しているのですが、僕の前の椅子の不具合箇所がまさにその部分だったものですからガス圧式への不信感が(特に安価な椅子については)あり、それゆえ本品のネジ式の高さ調節機構が最終的な決め手となりました。見た目はそれほど重視はしていませんでしたが、検討対象になった製品の中では唯一の木製の本品のデザインは僕としてはかなり好ましく感じられました。背もたれが付いたタイプもありまして本当はそちらが欲しかったのですが、いつの間にかメーカーのサイトや通販サイトからも姿を消してしまっていますね。

 

子みたいな物は本来店頭で実際に座るなどして実際の感触を確かめつつ買うべきなのではないか、という正論としか言いようのない意見を知人から頂いたりもしましたがあまり深く考えずアマゾンのカートに放り込み、もう2週間ばかりこのミヤタケのプロポーションチェアを使っております。そろそろ使用感のレポートを書いてもいい頃合いだと思い、当然今もこの椅子に座ってこの記事を書いています。

 僕としてはこの製品にとどまらず、いわゆる「バランスチェア」全般を使用している人や購入を検討している人に向けた記事にしたいと思っているのですが、今自分が使っているのが高級な本家本元の製品ではないし、前述のように店頭で様々な製品に実際に座って比較検討したわけでもない以上すべてのこのタイプの椅子に当てはまる公平な視点に立った文章になり得るのかという危惧も払拭できません。少なくともその点は差し引いてお読み下さいとお断りするのが公正な態度でしょうね。

 

ばらく使ってみて思ったのはこれは通常の椅子とは別物なのだと思っておかないと評価を誤るのではないかということです。つまりこれはそもそもくつろぐための椅子ではないと思ったのです。この記事のカテゴリーを「画材」としたのもつまりそういうことであります。これはある種の矯正器具であり、僕の場合は絵を描くの最適な姿勢を保つための「画材」なのではないかと思い至ったのであります。

 この椅子、長時間座っているとはっきり言って疲れます。お尻やら膝やらが痛くなってきます。この椅子が求めている姿勢を崩した時にそれは一層顕著になります。それが辛くて使うのをやめてしまう人がいたとしても仕方ないという気もします。

 ところで僕も最近歳相応に老眼など出てきましてどうにも手元が見づらくなったのでついに中近両用メガネを購入したんです。その後に椅子を買い替えたんですがそしたらあらびっくり、座った時の姿勢が変わって原稿用紙と目との距離が変わった結果、高価な中近両用メガネをかけなくてもそこそこ作業ができるようになったのです。

 これは果たして喜んでいいのか悲しんでいいのか分からない事態ですが、少なくとも僕にとって作業のための適正な姿勢を手に入れられたことはお尻の痛みを引き換えにする価値があるものでした。

 つまり椅子にそういう矯正的な要素を求めていない人は初めからこの手の椅子を買わない方がいいということですね。もしくはスペースとお金に余裕のある人は別に休憩用の椅子を用意してもいいかもしれません。

 

り心地の問題については補足しておいた方がいいでしょうね。くつろぐための椅子ではないとはいえ、しばらく使っていればそれなりに慣れてきて作業の合間に少し楽な姿勢をとるといったことはできるようになります。椅子の高さを納得のいくまで調整して自分に最適な高さを見つける、クッションを置くなどして少しでも快適に座れるように工夫する余地はじゅうぶんあると思います。僕は身長170センチですが椅子の高さはほぼ最大に近いところまで上げて座面にはドーナツ型クッション、膝当てには低反発素材のクッションを当てて、これでどうやら長時間座っていられるようになりました。

      f:id:yondokoro:20160131032126j:plain

 クッションを使われる場合は膝当てについてはメーカー純正の追加クッションもありますのでそちらを使用されてもいいかもしれません。

ミヤタケ(宮武製作所) プロポーションチェア用補助クッション ブルー CN-8C(BL)

ミヤタケ(宮武製作所) プロポーションチェア用補助クッション ブルー CN-8C(BL)

 

  あと、もっと高価な製品はより座り心地がいいのではないか、僕がとりわけ座りにくい商品を買ってしまっただけなのではないかという疑念もやはり拭いきれません。

 こればかりは現時点では確かめようのないところでありますが、僕は今回このバランスチェアというやつが気に入りましたのでいつかは北欧製の高級なやつなど購入し、自分の体で検証してみたいという気になっております。

 

うなることかと思いながら手に入れたバランスチェアはどうやら今の僕に必要なもののようでありました。でも多分すべての人に必要なものではないですよね。背筋のピンと伸びた正しい姿勢で座らなければいけない人って実のところそれほど多くなくて、大抵の人は机に向かって何事かするにしてもゆったりと落ち着ける椅子でリラックスした姿勢で臨みたいものなんだろうと思います。それでちゃんと集中してきっちり仕事ができるのならその方がいいに違いありません。

 自分を律するのに外部の力に頼る必要のある、僕のような人は一度検討してみて下さい。