ヤマイの反省の話題

ヤマイの反省の話題

エロ漫画家の苦悩と反省のおはなし

やっぱり悪態はブログの華ですよね

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ーマはなんであれ、ある物事についてズバッと問題点を指摘したり批判したりしている記事は読んでいてスカッとしますよね。その対象がものすごく業界的に強い力を持っていたり、斯界において広く支持されているものだったりすると筆者の勇気や他人とは一味違う感性や知性が際立って感じられ、なんだかその記事を選んで読んでいる自分も特別な存在になれたような気がします。また内容的にはこれといって納得できる所のない、単なる悪口のような記事であっても自分が内心同じように思っていれば、そのような悪意を持っているのが自分だけではないと思えて安心もできるものです。

 んなわけで僕もいつかは筆鋒するどく世の中を斬りまくる記事を書いて皆様の支持を集め、ゆくゆくは「俺がブログで年収ウン百万稼いだやり方」なんて記事を書いたりしたいものだと思っているのですが、あいにくと知性が足りない一方で自己防衛本能は過剰気味なものでなかなかそういう記事を実際に書くには至りません。それによく考えたら今特に批判したいものが思い浮かばないんですよね。

 

 余談になりますが、だからといって褒めたり紹介したりしたいものもすぐに思いつかないです。そういう方向で多くの人に読んでもらえる記事がかけたらそれはきっと悪態ついて手っ取り早く人の目を集めるより素敵でかつ困難なことだと思うのでいつかそういう記事もお目にかけたいものです。

 いや、今紹介したいものがひとつだけありました。ただいま好評配信中の『WEB版激ヤバ!Vol.85』(メディアックス)にてわたくし山井逆太郎の漫画『姉と暮らせば』16頁が掲載されております。最近公開された映画にタイトルが似ているような気がしますがお許し頂ければ幸いです。この作品単体でもご購入頂けるリーズナブルな仕様になっておりますのでよろしくお願いいたします。なお、18歳未満の方はご購入頂けませんのでご了承下さい。

 

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 回もまた読んでおられる皆さんが「はっ!いつの間に!!」と驚くような手際で流れるように宣伝へとアレしたわけですがそれはさておき、いつか僕がスタイリッシュな批評家としてデビューするための練習として、ここではこれから「僕の考えた架空の作品をdisる」ということをしていこうと思います。

 

いうわけで今回俎上に上げるのは現在『月刊ングシュネイ』(ふんどし図版社)で好評連載中、単行本も早20余巻を数え、この夏テレビアニメ化も決まっているカーマンドー・ケケログフノフスキー著『イラホロライホロ』です。天才ビジネスマンとうたわれる主人公ニョードロイ・ラホロイメンロホイがポロヒピロス業界を舞台に落ち目の企業ススズ・スーリェを立て直す姿を描く、手に汗握る異能力バトルあり涙あり萌え要素ありビジネスノウハウ要素ありの一大巨編ということになっています。

 主人公ニョードロイの名セリフ集なんてのが発売されて書店のビジネス書のコーナーに並んでいたり、芸能人がテレビで面白いと言ったりしてにわかに注目を集めていますから僕も試しに読んでみたのですが、正直に申し上げてこの作品のどこをどのように評価すればいいものやら全く理解できませんでした。ビジネス書として読めるって一体どこが?企業が何らかの思惑で糞下らない作品をさも大人気であるかのようにゴリ押ししているという、そういうビジネス手法の教科書としてならまあ読めなくもありませんが。せいぜいその程度の感想しか持てませんでした。

 まずなんといっても主人公ニョードロイ・ラホロイメンロホイに全く魅力が感じられない。この作者はキャラクター造形というものが絶望的に下手くそであると断じざるを得ません。

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 例えばこのシーン。名セリフ集でも最初に取り上げられていましたし、先日バラエティ番組で自称漫画オタクのアイドル、膝頭イタイーズの大蜥蜴栗子がこの場面で泣いたとかなんとか抜かしてましたがなんでしょう、この思慮の浅さ。倫理観はガキのままで適当に知恵だけつけた中学生レベルの詭弁としか言いようがありません。これで天下のイミョーレンカ大学を主席で卒業した設定になっているんですから呆れ果てます。この程度の知能であんな名門に進学できるんだったら僕の高校生活ももっと幸せだったろうにと思わずにいられません。周りの人々がこの他人に迷惑をかけまくるだけが取り柄のウスラトンカチの駄弁に感極まっている様子なのがまたムカつかせます。うまい具合に糊塗していますが要するにこの作者も天才を描写する一番安直な手段である「周りの人間を馬鹿に描く」というやり方をしているに過ぎません。

 「天才」をどのように描写するかというのは作者自身の知能程度を測るバロメーターともなる、誰にとってもいささか危険なものであり何もこの作者に限った問題ではありませんが、まあ少なくともこの作者は己の悲劇的な頭の悪さをごまかす才能くらいはあるようですね。

 先ほどキャラクター造形が下手と書きましたが、個々のキャラを見ていけばそれなりに魅力的だったりもするのです。ただ肝心の作者自身にその魅力を効果的に引き出す能力が決定的に欠けているのです。すべてのキャラが主人公をヒーローにするという目的に奉仕するだけの存在にしか見えていない。作者の性根と言いますか願望と言いますか、そういった薄ら寒いものが見る人によっては透けて見えてきます。

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 女性キャラですとこのノヒョミーラ・シュニッヒペンクロイテちゃんがかなり魅力的で、ぼくもついついフィギュアを買ったり、このキャラに扮したレイヤーさんの写真を収集したりしてしまったのですが、あのクソ主人公にベタ惚れというところですべてが台無しです。

 とにかく大ゴマでなんだかかっこよく名セリフ(それも自分のことを独立心旺盛な一筋縄では行かない男っぽく思わせておいて実は大企業の都合のいい手駒の論理としてのそれ)を吐かせておけば周囲が勝手に感動してくれるというバカの一つ覚えの演出手法(失笑)で全編押し切る度胸は大したものだと思いますし、おそらく作者本人も得意の絶頂にあるのだろうと思いますが、実際は出版社の都合でその才能をむなしく擦り減らしているだけというありさまで、16巻あたりを読了した頃には怒りを通り越して作者への憐れみの感情さえ持ってしまいました。どうにも救いようのない馬鹿ではありますが少なくとも才能はある作家だとは思いますのでこの程度の作品で世間から巨匠などと持ち上げられるのは本人にとっても不幸なことであると思います。

 何よりもこの作品を今メディアで必要以上に持ち上げている輩に対する怒りの方がより深いのです。どこが出処なのかよくわからないお金をどのくらいもらっているのか知りませんがそのはした金があなた方自身の値打ちと漫画界の未来をどのくらい傷つけているか、その足りない脳髄で少しは考えてみなさいと申し上げたいです。

 今言えることは先日テレビで「ホニフフドメ開催権争奪戦篇」のボスキャラ、ペリンギョイ・スホーラッラホドイメは理想の会社経営者だなどとのたまった(僕にはあのキャラはよくあるブラック企業の代弁者にしか思えませんでしたが)某社長の系列会社は全部潰れてしまえということと、この漫画のファン芸人の特集を先日放送した某人気番組は金輪際見ないということですね。

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こまで書いてみてわかったのですが、やっぱり悪口って楽しいですね。架空の作品とはいえ書いていて結構ストレス解消になりました。実在の対象に噛み付くとなるとこんな軽い気持ちでは書けないでしょうが、逡巡を乗り越えた先には何だか楽しい境地が待っていそうな気がしますし、これで更に他人様から高い評価など頂いた日にはきっとやめられなくなっちゃうでしょうね。

 まあ僕にはこういう文章を書く人間としての大事な要素が致命的に欠けていますから当分はこういう路線への挑戦をすることはないでしょう。つまり自分が批判されたり悪口を言われることへの覚悟ってやつです。