ヤマイの反省の話題

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エロ漫画家の苦悩と反省のおはなし

LinuxのKritaでタブメイトコントローラーを再利用 

 

あれば便利程度なもののご紹介

ソコンを使って絵を描く上で頻繁に使用する操作のショートカットを記憶した左手(あるいはペンを持っていない方の手)で使うデバイスは決して必須のアイテムではありませんがあればあったで余計な動作で作業を中断させることなく絵を描くことに集中させてくれる素敵な道具です。

  絵を描くのに使用する左手コントローラは一般的にはゲーム用のものを流用することが多くネットでもそうした製品をお絵描きで使用するコツなどを解説した記事をたくさん見つけることができます。

 いかにも便利そうですしそれらの製品は見た目もかなりかっこいいので僕も興味をそそられることがあったりするわけですが、主に使用するソフトがClipStudio Paint以下クリスタであることや価格面などを勘案し現在はクリスタの開発元セルシス純正の左手コントローラであるタブメイトを使っています。初代は有線式でしたが現在発売されているモデルではブルートゥース接続となり、ボタンの数も増えてより多様な操作を行えるようになっています。

 購入時点であらかじめ操作が設定されていることやクリスタの画面から容易に設定の変更が可能なのも魅力です。純正品だけにクリスタでしか使えないのが欠点といえば欠点ですが最近は仕事でもほぼすべての作業をクリスタで完結できるのでまあ我慢できる範囲であります。

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お尻からコードが伸びているのが旧型、黒いのが無線式の現行モデルです。

とは云え持ってしまえば必需品になってしまうので

ころで僕は絵を描くのには主にMacを使っていますが、それとは別にLinuxをいれたパソコンも持っております。こちらはネットやメールなどの普段使い用といった感じで、したがって平素の使用頻度はこちらの方が高いのですが、そうなるとこちらでもちょっとした落描きくらいはしたくなってきます。そしてLinuxで使用できるペイントソフトにもいくつか面白いものが存在します。

 Gimpを筆頭にMyPaintやAzPainterなどどれもそれぞれに面白いしその気になれば落描きの域を超えたものも描けなくはないスペックですが中でも僕が好きなのはKritaであります。こちらになるともうフリーソフトなのが申し訳ないくらいの高性能でちょっと無理すればプロユースにも十分耐えうるのではないかと思うくらいの代物です。

 それだけに非常に多機能で様々なボタンがUIのあちこちに散りばめられていて描画しつつそれらをクリックするのが少々煩わしくもあり、つまり左手コントローラがほしくなってきたわけです。
 実は過去にもそういう試みをしていましてこのブログでまとめたことがあります。やっていることは基本的に同じなのでこちらも併せてご覧頂ければより話が早くなるかと思います。 yamai-manga.hatenablog.jp

  前回コントローラとして使用したのは安いゲームパッドでしたが今回使うのはこれまではMacのクリスタで使用していて、2代目の導入によってお役御免となったセルシスの有線式初代タブメイト(正確には初代の商品名は「Tab-Mate Controller」、現在発売されているのは「CLIP STUDIO TABMATE」になります)です。

 

タブメイトコントローラーをLinuxで使えるようにするには

は早速始めましょう。ちなみに今回の環境はここまで書いた時点ではUbuntu MATE 2.04です。KritaはKritalimeチームのppaを導入して最新のバージョンをインストールしています。

 まずタブメイトをパソコンに接続して動作確認です。タブメイト本体の右側面のボタンでコントローラモードとマウスモードに切り替えることができますのでマウスモードにしてボタンやレバーを動かしてみます。反応しました。ちゃんと認識されています。

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側面に見えているのがモード切替ボタンです。

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マウスモードではランプの色が青くなります。

 次にJoystickとJstest-gtkという2つのソフトをインストールします。こういう時Linux関連の記事だと多くの場合端末を開いてsudo apt-get install ソフト名で…なんて書いてありますがLinuxといえども可能な限りGUIで操作したい派の僕はソフトウェア管理ソフトを開いてソフト名で検索してインストールします。

 ちなみにUbuntuでは標準のUbuntu softwareはUbuntu MATEではデフォルトでは入っていません。Ubuntu MATEには独自の管理ソフトであるSoftware Boutiqueが装備されていますが、こちらは必要最小限のソフトだけを取り扱っていてこれ以上のものが欲しかったらここからUbuntu SoftwareなりSynapticなりを入れてそれで入手してねという仕様になっています。

 前述のJoystickとJstest-gtkも確かBoutiqueでは入手できなかったはずですのでそういう手順を踏む必要がありますが今回は外部からインストールした軽量で見た目もわかりやすい管理ソフトApp Gridから入れました。ソフト名で検索するとダウンロードページが見つかりますのでdebパッケージをダウンロードしてgdebiパッケージインストーラーにてインストールします。

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記事のテーマとは関係ないので詳しく書きませんがApp Gridはこんな見た目です。

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Jstest-gtkの画面。デバイスの名前が表示されています。

 JoystickはLinuxでコントローラを動かすためドライバー、Jstest-gtkは接続したコントローラの動作確認や動作割当のためのソフトです。早速後者を起動して最初の画面の「プロパティ」をクリックして動作確認をします。

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レバーを動かすとバーの数値が変化して反応しているのが分かります。

 ちゃんと反応していますね。コントローラとして無事認識されていてまずは安心です。このままKritaで使うための動作割当に入ってもいいのですがこのソフトでの作業はしたことがないし見た目ちょっと難しそうなのでAntimicroというより簡単に作業ができるソフトを入れることにします。

 このAntimicroですが以前はKritaの最新版と同じく配布元のppaを導入するといった手順を踏んでインストールしなければいけませんでした。この手順は先ほど紹介した過去記事にも書きましたが端末からコマンド入力でするにしても僕のようにSynapticパッケージマネージャから導入するにしても少し面倒なものであります。時間が経つと配布元が変わったりなくなったりして面倒くさかったりがっかりさせられたりすることもままあるのでこういうソフトを入れたい時はまずネットで調べるところから始めるのですが今回はありがたいことにAntimicroがUbuntuの正規のリポジトリに含まれたということが、つまり普通に管理ソフトから導入できるようになったということがわかりました。というわけで先程と同じようにApp Gridから入手します。

 早速起動してみます。Jstest-gtkと違って広範囲に日本語化されているのでありがたいです。ボタンに番号が割り振られていてぱっと見どれがどれやらとなりますが本体のボタンを押せば該当箇所の色が変わるのですぐ分かります。

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 設定したいボタンをクリックすると設定画面が開きます。

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 指示の通りに設定していけば完了です。Shift+〇〇やCtrl+〇〇といった複数のキーを押す動作を割り当てたい時は「詳細設定」のボタンをクリックして設定します。割当が終わったら最初の画面の「保存」ボタンをクリックして設定ファイルに適当な名前をつけて適当な置き場所を指定してやれば設定が保存されます。こうした設定ファイルはもちろんいくつも作れますから使うソフトに応じて作っておくといいでしょう。

 ご覧のとおりとてもわかり易くて扱いやすいソフトなんですが一点困るというほどではないけれどちょっと嫌だなあと思うのがこのAntimicro、設定を有効にするには画面に常時出しっ放しにしておく必要があるということです。使用中はパネルにアイコンが表示される仕様なのでその状態にしておけばメインの画面を消しても使えるのかと思ったらそうでもないみたいなのでちょっぴり残念です。

 それはさておきどこにどんな動作を割り当てるかは各自の使い勝手に応じてお好みで決めて頂ければと思いますが、参考までに僕の割当を記しておきますと、

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①のレバーは上下でブラシと消しゴムの切り替え、左右でブラシ径の変更、②のボタンは取り消し、③に保存を割り当てました。ちなみにこの番号は便宜的に割り振ったものでAntimicroの設定上の番号とは無関係です。

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 どうでもいいですが写真にしてみてみるとこういう場でお見せしていいものか疑問に感じてしまうくらい外見が長年の使用でくたびれていますね。それはさておき④、⑤はshittとctrlにしてあります。Kritaの便利なショートカットとしてshift+ペンのボタンでキャンバスの回転、ctrlでスポイトツール、ctrl+ペンのボタンでキャンバスの拡大縮小というのがありまして、いずれも絵を描く際に多用しますからこちらに配置しています。そして⑥に自動選択ツールといったところです。

 またレバーを1回押し込むと上部ランプが点滅し始めますがこれはレバー以外のボタンの用途が切り替わった状態です。この状態でボタンを押してみるとAntimicro上で非点滅時とは別の項目の色が変わるのがわかります。つまりそれぞれのボタンにもう1種類の機能を割り振ることができるわけで、そちらをどうするかはこれから考えようと思います。

 

最後に試し描き

っかくだから設定の終わったタブメイトコントローラーを早速左手に握りしめて何か描いてみます。ちなみに描画で使用するのはXP-PenのペンタブレットDeco 03です。同社の製品はLinux向けのドライバーが用意されている製品がいくつかあるので大変ありがたいことです。こちらのタブレットLinuxで使うあれやこれやについても書いてみたのでもしそういった必要性がある方はご一読頂ければ。タブレットと今回設定したコントローラーを使って描いたものもちらっとお見せしています。

 

yamai-manga.hatenablog.jp

 

ところで

この記事を書き始めたのはもう1年以上前だったりします。なんでそんな長期間塩漬けにしたのかよく覚えていません。多分「新しく導入したタブレットとコントローラーで新作イラスト描きおろしたよ!見てね!」みたいな締め方をする予定だったのがそのイラストがいつまで立っても出来上がらなかったとかそんな理由でしょう。

 その間にLinuxでのお絵描き事情にまた変化がありましたのでうまくいけばそちらとあわせてこの記事もお目にかけられるかなといったところです。

 ひとまずこんなところで。