ヤマイの反省の話題

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ヤマイの反省の話題

エロ漫画家の苦悩と反省のおはなし

その時の自分がもっと違った人間だったらその本は自分にとってどんな存在になっていただろう。

今週のお題「人生に影響を与えた1冊」

 

 ブログを始めるにあたってこれだけは書いておこうと思っていた事は前回までに大体書いてしまったので、今回からはいちいち考えながら書いていかないといけないな、何を書こうかななんて思っていたところなのでした。そう思っていたところに「今週のお題」というのが目に留まったので仕切り直しにはいいかなと思った次第です。三回にわたって自分の作品について語った後ですし、ここで人様の本について書くというのも丁度良いバランスのような気がしますしね。

 

 

 その本に出会ったのは中学三年生の時、当時まだ中二病という言葉はありませんでしたが精神的にはまさにそういう状態、人間関係で行き詰まり二年生の頃まではかろうじてしていた、集団に溶けこもうとする努力を完全に放棄した頃。その上高校受験を控えて精神の不安定さがピークに達していた時僕はその本に出会いました。いつも行く本屋の普段は一瞥すらしない棚のひと隅に唐突に焦点が合ったのです。その作品も作者も僕は全く知らなかったので結構迷ったように記憶していますが最終的になにがなんだかわからない吸引力に負けて僕はその本を購入したのでした。

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      川崎ゆきお猟奇王』(プレイガイドジャーナル社)

 これはそんな精神状態の人間が読むにはあまりに危険な本でした。いやー、はまりましたねえ。ページがバラバラになるくらい読みふけって日々猟奇がー、と口走るあぶない少年にすっかりなってしまいました。まっとうな人間関係に馴染めない人間を惹きつけてやまないテーマ性に加え、絵や筋立てや構成、台詞回しに至るまでそれまで僕が知っていた漫画とは何もかも異質に見えるところにも大いに魅了されました。

 『ガロ』という雑誌の存在を知ったのもこの本によってでした。その後『ガロ』も買うようになり、そこの読者の四コマを載せるコーナーにせっせと投稿するようになったのが商業誌デビューのきっかけだった事を思えば文字通り人生に影響を与えた本といえるでしょう。もしこの本に出会っていなかったら、あるいは本屋でこの本を見過ごしてしまえる、もしくは単に面白い漫画として向き合えるような健全な精神状態だったらどうなっていたでしょうか。

 子供の頃から絵を描くのは好きで漫画家に憧れたりもしていましたからきっと挑戦はしたでしょうね。ジャンプなどのメジャーな雑誌に投稿して玉砕、「まあ世の中そんなに甘くないよね」とか言ってあっさり断念といった辺りでしょうか。勿論エロ漫画なんて選択肢は思いつきもしなかったでしょう。

 そっちの方がある意味幸せだったかなと思わなくもないのですが。

 

 起こってしまったことはもうどうにもできないわけでとにかく僕はこの本にああいった精神状態の時に出会ってしまいました。そこに運命的なものがあるのかないのか、どうにも分かりかねますが猟奇王は今も僕の中で走り続けており、僕は未だそれに追いつけずにおります。

 

 最後に、今回紹介させて頂いた本は現在では入手が少々困難なようですが、全く不可能というレベルでもないと思います。あえてこの本でなくてもいいという向きにはチャンネルゼロから出ている『猟奇王大全』全三巻が比較的入手しやすいかと思います。

 

 

 

 

猟奇の証明 (猟奇王大全)

猟奇の証明 (猟奇王大全)

 

 

 

 

大坂は燃えているか (猟奇王大全)