ヤマイの反省の話題

ヤマイの反省の話題

エロ漫画家の苦悩と反省のおはなし

フルデジタルで漫画を1本描いてみました

 はじめに

タブレットを購入しまして(念の為に説明しておきますとこの液晶タブレットとはいわゆるタブレットパソコンのことではなく、パソコンに接続して使う入力装置ペンタブレットの盤面が液晶モニターになっているもので紙にペンで描くのに近い感覚でパソコン上でお絵描きができたりする便利なツールのことです)慣熟もそこそこに早速これでネット配信向け商業作品を一つ執筆してみました。そこで感じたことなどつらつらと書いていこうと思います。

  今回は以前の記事と薄ぼんやりと関連性を持たせたものになっています。あらかじめそちらを見るなどせずとも読み進められるようにはするつもりですが、お暇な時に前の記事も読んで頂けるならありがたいことであります。

 

yamai-manga.hatenablog.jp

ワコム以外という選択

回記事からの繰り返しになりますが、この機器はいくつかのメーカーから発売されていますが何と言っても日本のワコムというメーカーの製品が最高峰であります。性能もカタログスペックには現れない使い心地もどれをとっても最高なのですがそれだけに価格の方も最高峰でして、僕が機器の選定をするに当たってはそこを問題として選択肢から外さざるを得ませんでした。そこを借金してでも仕事のために最高の道具を買うのがプロの心意気ではないのか!というのは至極もっともなご意見ですが他社製品への興味というのも選定に際して強く働きまして中国はHuion社のKamvas Pro20を購入したのでした。

 こちらの機種、ワコム製品に比べると色々と至らない点があると言われます。まず本品はワコム製品ではとっくの昔に備えていたけれど海外メーカーがなかなか追随できなかった傾き検知機能を ようやく搭載した最初期の製品の一つです。傾き検知とは文字通りペンの傾き度合いを検知してアナログのペンのように傾き角度に応じた描線を引けるようにする機能です。本品はそれをようやく搭載したもののその検知機能はワコム製品に比べると十分なものではなく、せいぜいペンを極端に傾けても一応描けますという程度であるとのことです。他にも画面本体と表面のガラス面の視差が大きくキャリブレーションと呼ばれるそれを補正する操作が必須であるとか筆圧によって沈み込むようになっているペン先がよろしくない、更にペンの尾部が消しゴムになっていないなど様々な問題点の指摘をネットから見つけることができます。

 しかしペンの尾部以外のそれらは僕にとってさほど問題にはなりませんでした。

 なぜなら僕はワコムの液晶タブレットを使ったことがないからです。せいぜい家電量販店の見本品でゴジラの絵を描いたりしたくらいです。つまり「ワコムと比べると」という枕詞のつく批判は僕にはあまり意味がありません。「こういう物」だと思って使っていくまでであります。そして「こういう物」と思って使うHuionの液晶タブレットはなかなかに快適な道具でありました。

実際に使ってみましょうか

速何か描いてみます。ちなみにパソコンの環境は2014年モデルのMac MiniでOSはMojave、使用するソフトはClip Studio Paintです。

 広く一般的に広まったと思われる略称なので今更断る必要もないかもしれませんが以下液晶タブレットを「液タブ」、従来型のペンタブレットを「板タブ」と表記します。

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 カメラで脇から撮影しますとペン先とカーソルのずれがより大きく見えてしまいますが描き手の目線では作業に支障ないレベルで一致しています。

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 Clip Studioとの相性は僕が分かる範囲では問題ありません。別のソフトでもささっと描いてみます。少し前に完全無料化されたSketchBookを使ってみます。今回のテーマとは関係ないですけど良いソフトですよねSketchBook。タダというのが少し申し訳なくなるくらいには良いソフトです。こちらも問題なく気持ちよく描くことができました。

    

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 当たり前ですが顔は正面のモニターに向けながら机上の板タブで描くのとは全く違う感覚です。これまた当たり前のことですが長年慣れ親しんできたアナログでの描画にかなり近い感じで楽しくなる一方で思いがけなく板タブでの作業の利点にも気付かされます。

 

気になる人には気になる液タブの問題点

タブの利点、つまりは液タブの問題点はだいたい2つあります。

 まず一つ、前に貼った写真を見ればお分かりかと思いますが、液タブで絵を描く時にはペンを持つ自分の手で画面が隠れます。

 何を当たり前のことをという感じですが、いや実際アナログで描く際にはそれが当たり前のことなので別に何とも思わないのですがデジタルで板タブを使って作業する時は画面上ではカーソルだけが動いて絵を描いていくので常に画面全体を見渡せます。デジタルでの作画ではそれが当たり前だという意識があるのでいざこうして液タブで描き出してみると手で絵が隠れるという当たり前のことにものすごく違和感があるのです。プロのイラストレーターさんでこれを嫌って板タブを使い続けている人もいたりするくらいです。

 もう一つは盤面の描き心地でしょうか。最近の板タブの樹脂製の盤面はペンを当てた時に絶妙な引っかかりがあって実に気持ちよく線を引けます。それでも気に入らないという場合は表面に紙を貼り付けるなんていうことも(メーカーは推奨していませんが)できます。それに対して液タブは表面に保護フィルムが貼ってあったり工夫はしてはいますがまあ言ってもガラスであります。なかなか板タブのような描き心地は出せませんし紙を貼るわけにもいきません。(でもまあ僕がまだ見ぬワコム製品などはきっとその辺僕が使っているような物より優れているんでしょうね)

 この問題に対してはこうした商品も存在していまして僕もこちらを使っています。

  フィルム自体結構なお値段な上にペーパーライクと謳っていますがペーパーというよりは目が細かい紙やすりといった感触で、確かに描き心地は良くなりますがペン先の消耗も恐ろしく早くなるのでそこの所もフィルムの値段に加算して検討する必要があります。

 この2点を受け入れることができたなら僕が使っている程度の液タブでも十分快適にお絵描きができますし漫画1本描きあげることも可能です。これさえあれば直ちに上手に描けるといった魔法の道具ではありませんが特性を理解して少しばかり練習すればそれに応えてくれるだけのクオリティは備えていると思います。

 

で、結局の所「何もかも上手く」いったのか

タブレットは僕にとっては長年憧れの道具であり、これさえあれば様々なことが実現できるのではと過剰な期待を向けてきました。どんな期待を抱いてきたかといいますと、

1. 絵を描き始める最初の一歩が軽くなる。

2. デジタルの様々な便利機能の恩恵をより受けやすくなる。

3. 漫画やイラストの製作ペースが上がる。

4. 画力が向上する。

5. 人気作家となり高収入が得られる。

 まあ大体こんな感じでしょうか。

 で、実際に使ってみてどうだったか。まだ使い始めて1年経っていませんし結論を出すのも早計かもしれませんがある程度実現できたのは1と2だけでしょうか。3はその気配はあるかなという程度、4、5はまあみなまで言うなといったところです。

 でもこれもなー、あるいはワコムのCintiq32辺り買えてたら4や5も実現できていたのでは…などというしょうもないことを思わなくないですねえ。まぁあれを気軽にホイホイ買えるくらいの財力があるのだったらそれは4、5が購入前からすでに備わっているという気もします。

 1についてはこれは実感します。どちらかというとデジタルが着手しやすいと言うよりアナログが実は思っていた以上に体力がいるものだったということが再認識できた感じでしょうか。デジタルとアナログの最も大きい違いは描き損じに対する許容度の差ではないかと思いますが、この差が心と体にかなりの影響をもたらします。そしてこの描き損じに対する許容度が大きく変わってくることこそが2のデジタルの恩恵の最も大きな点ではないかと思っています。

 アナログで描く漫画は基本的にはペン画であり、これは大体において一発勝負な絵画ジャンルであります。もちろん修正が全く不可能なわけではなくホワイトのポスターカラーや修正液、切りはりなど様々な手段がありますし、ホワイトを使った修正に恐ろしく時間をかけて絵の完成度を上げていく作家さんもおられますがそうした修正を施した

紙はやはりどうしたってまっさらな紙に描くようにはいきません。

 一方のデジタルはそういう紙の下地の質感変化は何度線を消そうとも起こらないのです。ペン画を油絵や塑像のように盛っては削りといった作業で仕上げいくことができます。デジタル世代にとっては当たり前のことかもしれませんが僕にとってこれは本当にすごいことでありました。

 デジタルの様々な機能はその特質を理解し描き手の方からも幾分か歩み寄っていけばパワードスーツのごとく僕の画力を強化してくれるかもしれません。

 

締めの言葉に代えて宣伝

んな感じでいろいろと迷いながらも初めてほぼデジタルのみで描きあげた僕の初めての作品である『夢の子作りリゾートハーレム島〜女だらけの孤島で美女たちとヤりまくろうっ!〜』(メディア編集部)の配信が2020年6月26日より始まっています。

 ひと目であらすじの分かるタイトルからおわかりの通り年齢制限の厳格な漫画ですので売上アップのためにも本来は是非やっておきたいリンクを貼ったりといったことはこの全年齢向けブログでは差し控えさせて頂きますので、ご興味のある大人の方は作品名か作者名で検索の上ご購読頂けると感謝の極みであります。